2019年7月9日火曜日

sin11 と最大値の定理の方便

先日の数学の飲み会で何人かに聞いてみた。
「サイン十一の値、知ってる?11度じゃないよ。11ラジアン」
もちろん、だれも知らない。
「グーグルで計算させるとなかなかいい値が出るよ。」
Google電卓
皆さん感心してくれる。


9が5個も並ぶ。
四捨五入すれば、ほぼ $-1$

$\frac{\pi}{2}\times 7\approx \frac{3.14}{2}\times 7=1.57\times7=10.99$
つまり、$11\approx\frac{7}{2}\pi$ なのである。

なので、$\sin 11\approx \sin\frac{7}{2}\pi=-1$ である。

実際、
$\frac{7}{2}\pi=10.99557428756427633461925184147826009469009289781287037341...$ で、
$\sin 11 =-0.99999020655070345705156489902552210684297111205482259527...$ となる。



昔、問題集に $\sin 1,\ \sin 2,\ \sin 3$ の大小を聞く問があった。

$1<1.04\approx\frac{\pi}{3}<1.57\approx\frac{\pi}{2}<2<2.08\approx\frac{2\pi}{3}<3<\pi\approx3.14$

と$\sin $ の増減からわかるというもの。

で、数列$\{\sin n\}$ の値を調べたら、$\sin 11$ の値にシビレたw

$\sin x$ の値の範囲には制限がある。$-1\le \sin x \le 1$ (これを有界 bounded という)
$\sin\frac{奇数}{2}\pi=\pm1$ だが、$\pi$ は無理数なので、$\pi$ の有理数倍である $\frac{奇数}{2}\pi$ が有理数(整数比)になることはない。なおさら整数にならない。
したがって、すべての整数$n$ について、$\sin n\ne\pm1$である。つまり、 $-1< \sin n < 1$ (有界)である。

$ \sin n $ は決して $\pm1$ に等しくなることはないが、いくらでも $\pm1$ に近い値をとりうる。$n$は無限にあるので、いくらでも $\frac{\pi}{2}$ の奇数倍に近い数があるはずだから $-1< \sin n < 1$ の範囲にビッシリになるからである。
つまり、数列$\{\sin n\}$ は $1$ に収束する部分列を持つ。(実際は、$-1$以上$1$以下の任意の値に収束する部分列を持っている。)

この事実を「ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理」という。
「有界な数列は収束する部分列を持つ」

この定理と実数の連続性(ベッタリ)をから導かれるのが、「最大値の定理」
「閉区間で連続な関数は、最大値をとる。」(もちろん最小値も)
というもの。
有理数がビッシリで、実数はベッタリw
この違いは絶大で、連続関数「$\sin 有理数$」 は最大値も最小値もとらない。どんなにビッシリ$\sin 有理数$ の値を並べても最大最小は存在しない。(ビッシリは数学では稠密とよぶ。)

「最大値の定理」は数IIIで初めて出てくるが、数I, IIでも、中学数学でも「アタリマエのこと」として使う。
区間が決まっていれば、最大最小をとるのはアタリマエ

中学数学や数Iでは区間の決まった1次関数の最大最小や2次関数の頂点での最大最小。
数IIでは三角関数や指数対数の最大最小。
これをアタリマエのことと片付けるのは「教育的配慮」である。もちろん数IIIでも証明はせず、事実の紹介にとどめている。
こうした、当たり前すぎる事実を証明するのは、難しい。

「理論的に正しいこと」をすべて教えれば生徒は理解してくれるかといえば、そうはいかない。理論的な正しさと、理解は別問題であるからである。
「教育的配慮」を仏教用語で「方便」という。

2 件のコメント:

  1. 7月22日は円周率の日ですね。

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  2. 近似分数ですね。
    355/113 はなにかこじつけできないかな。
    あるいは連分数の 3+1/(7+1/16) から、3,7,16

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