2011年3月25日金曜日

平均値の定理から級数展開へ

数学III の基礎的な話.

平均値の定理のスタンダードタイプ
「f(x)が a≦x≦bで連続,a<x<bで微分可能なら,
$\frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)$, a<c<b
を満たす c が存在する.」
ラグランジュの平均値の定理ともいう.

もともと,これの b→a の極限が微分f'(a) の定義である.
$\lim_{b\to a}\frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(a)$

b=a+h とおけば,b-a=h より b→a のとき,h→0 より微分の定義は,
$\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=f'(a)$

この形で,平均値の定理を書き直せば,
$\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=f'(c)$
a<c<b より,a<c<a+h ということなので,普通はここで,0<θ<1 という変数θを用いて,a<a+θh<a+h となるようにして,
$\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=f'(a+\theta h)$,0<θ<1 を満たす θ が存在する.
と言い換え,さらに,分母を払って移項し,
$f(a+h)=f(a)+hf'(a+\theta h)$,0<θ<1 を満たす θ が存在する.
という形にすることが多く,これは平均値の定理というより,a+h=x,h=x-a と置き換えて,
$f(x)=f(a)+(x-a)f'(a+\theta(x-a))$,0<θ<1 を満たす θ が存在する.
「f(x)のaの周りの(1次)近似式」という.1次近似式とは,つまり「接線」のことである.(アタリマエ)

関数f'(x) が(必要な範囲で)微分可能なら,
$f'(a+h)=f'(a)+hf''(a+\theta h)$
も成り立つわけで,θがかぶらないようにηに書き換えて,
$f'(a+\theta h)=f'(a)+\theta hf''(a+\eta\theta h)$
となるから,それを f(x) の近似式に代入すると,
$f(a+h)=f(a)+h\left(f'(a)+\theta hf''(a+η\theta h)\right)=f(a)+hf'(a)+\theta h^2f''(a+\eta\theta h)$
数III の教科書には,「f''(a)≧0 なら x=a で f(x) は下に凸」とか習うけど,その説明は,結構面倒になされている.
でも,この2次近似を見ると,そのことが一目でわかる.この式の1次までの項,
$f(a+h)=f(a)+hf'(a)$
において,a+h=x とすれば,h=x-a より,
$f(x)=f'(a)(x-a)+f(a)$
は,数IIで習う,「点(a,f(a))を通る傾き f'(a)の直線」つまり接線である.
この2次近似式はその接線に
$\theta h^2f''(a+\eta\theta h)$
がくっついているだけ.ここで,θ>0 だし,h^2≧0 であるから,この2次の項の符号は f''(…)で決まってくる.
f'(a)≧0 なら,その周りで関数値f(x)は接線より値が大きい,つまり「接線の上方にある」といえる.となると「下に凸」になるよね~~~.
と,数IIIで,曲線の凹凸(凸凹?)や変曲点を説明するときは,この説明をすることが多い.

同様に f''(x) にも近似式を適用して,
$f(a+h)=f(a)+hf'(a)+\theta h^2f''(a+h)+\eta\theta h^3f'''(a+\zeta\eta\theta h)$
のようになる.
ここで,カンタンな関数,たとえば f(x)=多項式 であるような関数で実際に近似式を作ると,どんな関数で作っても,必ず θ=1/2,η=1/3 であることがすぐわかる.
$f(a+h)=f(a)+hf'(a)+\frac{1}{2}\cdot h^2f''(a)+\frac{1}{3}\cdot \frac{1}{2}\cdot h^3f'''(a+\frac{1}{3}\cdot \frac{1}{2}\cdot\theta h)$
θ/6 を改めて,θと置きなおして,
$f(a+h)=f(a)+hf'(a)+\frac{1}{2}\cdot h^2f''(a)+\frac{1}{3}\cdot \frac{1}{2}\cdot h^3f'''(a+\theta h)$,0<θ<1を満たすθが存在する.

つまり,2次近似,3次近似というわけである.f(a),f'(a),f''(a) は定数だから,f(a+h) が「h の2次式,3次式になった」ということ.
これは証明ができて,いわゆる,「テイラー展開」というものである.テイラーの定理では,a+h=x,h=x-a と置き換えた形が普通だな.
$f(x)=f(a)+(x-a)f'(a) + \frac{(x-a)^2}{2}f''(a) + \frac{(x-a)^3}{3!}f'''(a) + \\\cdots + \frac{(x-a)^{n-1}}{(n-1)!}f^{(n-1)} + \frac{(x-a)^n}{n!}f^{(n)}(a + \theta(x-a))$
証明はちょっとテクニカル.ごちゃごちゃしていてブログに書くのは適当ではない.(進学校にいたときは,授業で証明したときもあったが)

もちろん,f(x)=多項式 のとき,多項式が3次式ならば,
f(x)=3次近似式
ともとの関数と一致して,近似式ではなくなってしまう.
したがって,近似式が最初の関数と一致しないような,多項式ではない関数でなければ,テイラー展開は意味が無い.

テイラー展開で,a=0 を代入したのが,マクローリン展開.
$f(x)=f(0)+xf'(0)+\frac{1}{2}\cdot x^2f''(0)+\frac{1}{3}\cdot \frac{1}{2}\cdot x^3f'''(\theta x)$

sin0=0,cos0=1,(sin)'=cos,(cos)'=-sin なので,sin x の展開式が,
$\sin x=\sin0 +x\cos0+\frac{x^2}{2}(-\sin0)+\frac{x^3}{6}(-\cos0)+\cdots\\=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+ \cdots + (-1)^n\frac{x^{2n-1}}{(2n-1)!}+\cdots$
と冪級数(無限多項式)になり,数値計算に応用されたりする.
つまり,加減乗除(多項式の計算)しかできぬコンピュータに,いろんな関数の値を計算させる手立てを与える.>数表

同様に,
$\cos x=\cos0 +x(-\sin0)+\frac{x^2}{2}(-\cos0)+\frac{x^3}{6}\sin0+\cdots \\ =1-\frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} - \frac{x^6}{6!} + \cdots + (-1)^{n-1}\frac{x^{2n-2}}{(2n-2)!}+\cdots$

指数関数も,e^0=1,(e^x)'=e^x だから,
$e^x=e^0 +xe^0+\frac{x^2}{2}e^0+\frac{x^3}{6}e^0+\cdots \\ =1 + x + \frac{x^2}{2} + \frac{x^3}{3!} + \frac{x^4}{4!} + \cdots + \frac{x^{n-1}}{(n-1)!}+\cdots$

さらに,論理の循環を避けるために,この級数を三角関数 sin x,cos x や指数関数 e^x の定義にする.

指数関数の展開式に,虚数単位 i (i^2=-1,i^3=-i,i^4=1,i^5=i,…) として,x の代わりに ix を代入すると,
$e^{ix}=1 + ix + \frac{(ix)^2}{2} + \frac{(ix)^3}{3!} + \frac{(ix)^4}{4!} + \frac{(ix)^5}{5!} + \cdots \\ = 1 + ix - \frac{x}{2} - \frac{ix^3}{3!} + \frac{x^4}{4!} + \frac{ix^5}{5!} + \cdots$
となり,実部と虚部(iの項)に分けると,
$e^{ix}=\left(1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{4!} - \frac{x^6}{6!} + \cdots \right) + i\left(x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots\right)$
と,実部が cos x,虚部が sin x の展開式になっているのがわかる.つまり,
$e^{ix}=\cos x+ i\sin x$
という,波動を表すには欠かせない,指数関数と三角関数を結び付けるオイラーの関係式が得られる.

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