2007年6月23日土曜日

3次方程式の解の公式(一般解)

3次方程式の解の公式(一般解)を求める.(カルダノの解法)

ax^3+bx^2+cx+d=0
の両辺を aで割って,
x^3+\frac{b}{a}x^2+\frac{c}{a}x+\frac{d}{a}=0
ここで,
x=y-\frac{b}{3a}
とおくと,2次の係数を0にできる.
\left(y-\frac{b}{3a}\right)^3+\frac{b}{a}\left(y-\frac{b}{3a}\right)^2+\frac{c}{a}\left(y-\frac{b}{3a}\right)+\frac{d}{a}=0
y^3+\left(-\frac{b^2}{3a^2}+\frac{c}{a}\right)y+\frac{2b^3}{27a^3}-\frac{bc}{3a^2}+\frac{d}{a}=0
ここで,1次の係数を p,定数項をq とおいて,スペースを節約する.
y^3+py+q=0
ただし,p=-\frac{b^2}{3a^2}+\frac{c}{a}q=\frac{2b^3}{27a^3}-\frac{bc}{3a^2}+\frac{d}{a}


ここで,
y=u+v
とおくと,
(u+v)^3+p(u+v)+q=0
u^3+3u^2v+3uv^2+v^3+p(u+v)+q=0
u^3+3uv(u+v)+v^3+p(u+v)+q=0
u^3+v^3+q+(u+v)(3uv+p)=0
この等式を満たすには,
u^3+v^3+q=0 かつ (u+v)(3uv+p)=0

y=u+v\ne0より
u^3+v^3+q=0 かつ 3uv+p=0
である.
3uv+p=0より,
v=\frac{-p}{3u}
これをu^3+v^3+q=0に代入して,
u^3+\left(\frac{-p}{3u}\right)^3+q=0
u^3-\frac{p^3}{27u^3}+q=0
両辺を u^3 倍して,
(u^3)^2-\frac{p^3}{27}+qu^3=0
これは u^3 の2次方程式
(u^3)^2+qu^3-\frac{p^3}{27}=0
なので,解の公式で解くと,
u^3=\frac{-q\pm\sqrt{q^2+\frac{4p^3}{27}}}{2}
=\frac{-q\pm\sqrt{\frac{81q^2}{81}+\frac{12p^3}{81}}}{2}
=\frac{-q\pm\frac{\sqrt{81q^2+12p^3}}{9}}{2}
=\frac{-9q\pm\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}

また,
u^3+v^3+q=0
より
v^3=-u^3-q
=-\frac{-9q\pm\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}-q
=\frac{9q\mp\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}-\frac{18q}{18}
=\frac{-9q\mp\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}
だから,2次方程式の「±」の一方が u で他方が v である.

ここで,「+」の方を u,「-」の方を vとして,話を進める.
まず,この3次方程式を解く.
u^3=\left(\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\right)^3
より,
u^3-\left(\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\right)^3=0

一般に, x^3-a^3=0 の解は,
(x-a)(x^2+ax+a^2)=0
より
x-a=0,\ \ x^2+ax+a^2=0
x=a,\ \ \frac{-1+\sqrt{3}i}{2}a,\ \ \frac{-1-\sqrt{3}i}{2}a
となる.
\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
は1の虚数3乗根で\omegaと表す.このとき,
\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}=\omega^2
となる.したがって,
u^3-\left(\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\right)^3=0
の解は
\alpha=\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}
とおくと,
u^3-\alpha^3=0
(u-\alpha)(u^2+\alpha u+\alpha^2)=0
より,
u=\alphau=\alpha\omegau=\alpha\omega^2
の3つが求まる.
ここから変数のおきかえをたどりなおして,もとの方程式の解を復元する.

u=\alphaのときは,±をとりかえたのが v だから,
v=\beta=\left(\frac{-9q-\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}
である.
このとき,解u=\alpha\omegaに対応する v
v=\frac{-p}{3u}
より
v=\frac{-p}{3\alpha\omega}
v=\beta\cdot\frac{1}{\omega}
v=\beta\cdot\frac{\omega^2}{\omega^3}
v=\beta\cdot\frac{\omega^2}{1}
v=\beta\omega^2
u=\alpha\omega^2に対応する v は同様に
v=\frac{-p}{3\alpha\omega^2}
v=\beta\cdot\frac{1}{\omega^2}
v=\beta\cdot\frac{\omega}{\omega^3}
v=\beta\cdot\frac{\omega}{1}
v=\beta\omega

u+v=yだったから,3つの y
\alpha+\beta
\alpha\omega+\beta\omega^2
\alpha\omega^2+\beta\omega
さらに,
x=y-\frac{b}{3a}
だったから,3つの x
\alpha+\beta-\frac{b}{3a}
\alpha\omega+\beta\omega^2-\frac{b}{3a}
\alpha\omega^2+\beta\omega-\frac{b}{3a}
と表される.

・・・と普通は,これで終了.「あとは自分でたどってもとの a, b, c, d に直してね.」となるのだろう.
でもせっかくだから,ここで元の定数に戻してみる.


求めた\alpha\beta を代入して,
\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}+\left(\frac{-9q-\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}-\frac{b}{3a}
\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}+\left(\frac{-9q-\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}-\frac{b}{3a}
\left(\frac{-9q+\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}+\left(\frac{-9q-\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}-\frac{b}{3a}

p=-\frac{b^2}{3a^2}+\frac{c}{a}=\frac{-b^2+3ac}{3a^2}
q=\frac{2b^3}{27a^3}-\frac{bc}{3a^2}+\frac{d}{a}=\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}
だったので,
\frac{-9q}{18}=\frac{-9\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}}{18}=\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}
\frac{\sqrt{81q^2+12p^3}}{18}=\frac{\sqrt{81\left(\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}\right)^2+12(\frac{-b^2+3ac}{3a^2})^3}}{18}
=\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}

x を復元すると,
-\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}
+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}
-\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
-\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
の3つが,3次方程式の解の公式を係数だけで表したものとなる.

普通はスペースが無駄なので,係数を復元しない.
数学人間にとっては,\alpha\betaで表された段階で,「あとはもどすだけ」と書けば,自分で計算できるし,計算しなくても想像がつく.
でも,数学がシロートの人は,計算できないし想像もつかないだろうから最後まで全部見せてあげることに意味がある.

「公式」と聞くと「万能」のイメージがあるが,結論は見ての通り,万能かもしれないが使いようのない,それ自体は「不毛な」公式である.

さらに,この公式は「簡単な答えすら複雑に表現されてしまう」という問題点がある.

実際は級数による数値解が高速で利用価値が高い.

linked: 1 2

2013年追記>「-1 の7乗根」を別の方法(ラグランジュリゾルベント)で求めてみた.

8 件のコメント:

  1. 結局これの答えって何になるんですか?

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  2. -\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}

    -\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}

    -\frac{b}{3a}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}+\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}+\left(\frac{-2b^3+9abc-27a^2d}{54a^3}-\frac{\sqrt{3(-b^2c^2+4b^3d-18abcd+4ac^3+27a^2d^2)}}{18a^2}\right)^{\frac{1}{3}}\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
    の3つです.
    使えるもんなら使ってみやがれという雰囲気ですね.

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  3. むさしと申します。
    突然すいません質問です。教えてください。

    xに関する3つの解の公式のうち,2つめと3つめには
    3乗根の項に(-1+sqrt(3)*i)/2,(-1-sqrt(3)*i)/2がかけられていますが,もし,この(-1+sqrt(3)*i)/2を三乗根の中に入れて計算しようとした場合,(-1+sqrt(3)*i)/2の3乗は1になります。すると2つめと3つめの式はどんな場合でも1つめの解の式と全く同じになりますよね?

    そもそも,複素数に関してはそのような(3乗して3乗根の中に入れるというような)計算はしてはいけないのでしょうか。

    筋違いな質問かもしれませんがよろしくお願いいたします。

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  4. そうです.同じになります.

    問題を簡単にします.

    x^3-8=0
    の解は
    \sqrt[3]{8}, \sqrt[3]{8}\cdot\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}, \sqrt[3]{8}\cdot\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
    を計算して,
    2, -1+\sqrt{3}i,-1-\sqrt{3}i
    の3つです.
    もし,この\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} を三乗根の中に入れて計算した場合,\frac{-1+\sqrt{3}i}{2} の3乗は1になります。すると2つめと3つめの式はどんな場合でも1つめの解の式と全く同じになり,3つの解は
    2, 2, 2
    となり,虚数解が求まりません.つまり,
    \frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
    を3乗根の中に入れないことが,この公式の本質となります.

    http://kurobe3463.blogspot.com/2006/08/exact-solution-to-sin1-degree.html
    にも,1の原始3乗根を3乗根記号の中に入れられない事情が書いてあります.

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  5. テトロドトキシン2009年11月2日 16:45

    v^3-α^3の因数分解が
    (v-α)(v^2+vα+α^2)ではなく
    (v^3-α)(v^2+vα+α^2)になってますよ。

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  6. 惨事方程式と命名したいくらいですね....(賛辞しつつ)

    http://b4.spline.tv/study777/?command=GRPVIEW&num=715
    <--- 正しくない記載に出会いました。

    (2 + 2*I)^(1/3)=___________.

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  7. 3次方程式の解き方が分からなくて、いろいろ探していました。
    くろべえさんのこのページをみまして、理解した気になりました。
    省略せずに丁寧に書いてくださいましてありがとうございます。
    くろべえさんは本当に数学が好きな人だと思いました。感謝しています。

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