2006年1月3日火曜日

不思議な数πの伝記

正月読書その2
不思議な数πの伝記

πの歴史やその周辺の話題が書かれている.同じ出版社と訳者の「素数に憑かれた人たち」よりずっと易しい内容で,高校生にも楽に読めるだろう.「素数に憑かれた人たち」は読み終わるのに半年もかかってしまった.>柏うろうろ

さて,この程度の数学ならほとんど既知なので斜め読み状態できる.数学的内容は既知であっても,やはり歴史の再認識は楽しい.また,知っているとしてもそれは結果だけであって,その歴史的な背景や数学者の思考の過程を知ることができるのは,やはり有益である.
つまり,その思考に至った「必然」というものがあるはずなのだ.


斜め読みの最中,1箇所,式変形をいろいろ楽しんだ.
あ.この内容は,大学初年級レベル.
オイラーの公式
e^{ix}=\cos x+i\sin x
において,x=\piのときは
e^{i\pi}=\cos\pi+i\sin\pi=-1
となるが,-1を移項した式
e^{i\pi}+1=0
は「博士の愛した数式」で博士がその数式を書いたとたんに言い争うのをやめた数式である.

これは数学的な基本をすべて含む式として有名.
まずは定数について
和の単位元 0
積の単位元 1
虚数単位 i
と,数の単位になる数と,
円周率π
自然対数の底e
といった,自然科学を記述するとどこにでも登場する基本的な定数が出てくる.
そして,演算(計算)については
和 e^{i\pi}+1
積 i\pi
指数 e^{i\pi}
といった,人間の知る基本的な演算を網羅している.(差,商,対数はこれらの逆算)
さらにそれらを結ぶ等号「=」である.

さて,オイラーの公式において,x=\frac{\pi}{2}のとき
e^{\frac{\pi i}{2}}=\cos\frac{\pi}{2}+i\sin\frac{\pi}{2}=0+i\times1=i
から,i^i(虚数単位の虚数単位乗)は
i^i=(e^{\frac{\pi i}{2}})^i=e^{\frac{\pi i}{2}i}=e^{\frac{\pi i^2}{2}}=e^{-\frac{\pi}{2}}
として,
i^i=e^{-(\frac{\pi}{2}+2k\pi)}
でも成り立つとしていて,特に式変形までは踏み込んでいない.
実際に式変形してみると,オイラーの公式において,x=\frac{\pi}{2}+2k\piのときも
e^{(\frac{\pi}{2}+2k\pi)i}=\cos(\frac{\pi}{2}+2k\pi)+i\sin(\frac{\pi}{2}+2k\pi)=0+i\times1=i
となるから,(つまりxを何周回しても動径は同じ場所に来る)
i^i=(e^{(\frac{\pi}{2}+2k\pi)i})^i=e^{(\frac{\pi}{2}+2k\pi)ii}=e^{(\frac{\pi}{2}+2k\pi)(-1)}=e^{-(\frac{\pi}{2}+2k\pi)}
となるわけだ.
つまりi^i(虚数単位の虚数単位乗)は無数にあり,そのすべては実数である.

Google電卓「i^i」を計算させるk=0のときを計算する.
k=0のときi^i=e^{\frac{-\pi}{2}}=\frac{1}{\sqrt{e^\pi}} =0.207879576
k=1のときi^i=e^{\frac{-5\pi}{2}}=\frac{1}{\sqrt{e^{5\pi}}} =0.000388203204
k=-1のときi^i=e^{\frac{3\pi}{2}}=\sqrt{e^{3\pi}} =111.317778

さて,本書には無かったが,ついでに虚数の対数とか三角関数も計算練習してみた.
\log i=\log e^{(\frac{\pi}{2}+2k\pi)i}=(\frac{\pi}{2}+2k\pi)i=(\frac{1}{2}+2k)\pi i
である.k=0のとき(Google電卓ではこれ)
\log i=\frac{1}{2}\pi i =1.57079633i
ついでに,高校数学では負の対数は定義されないが,
e^{(\pi+2k\pi)i}=-1
を用いれば,
\log(-1)=\log e^{(\pi+2k\pi)i}=(\pi+2k\pi)i
である.k=0のとき(Google電卓ではこれ)
\log(-1)=\pi i =3.14159265i

\sin i\cos iはテクニカルな式変形が必要.+2k\piは省略する.
e^{ix}=\cos x+i\sin x
x=iのとき,
e^{ii}=\cos i+i\sin i
e^{-1}=\cos i+i\sin i ……(1)
x=-iのとき,
e^{-ii}=\cos(-i)+i\sin(-i)
\cos(-\theta)=\cos\theta\sin(-\theta)=-\sin\thetaより
e^{-(-1)}=\cos i-i\sin i
e=\cos i-i\sin i ……(2)
(1)+(2) e^{-1}+e=2\cos iより
\cos i=\large\frac{e+e^{-1}}{2}
と計算される.つまり \cos iは実数.
(1)-(2) e^{-1}-e=2i\sin iより
\sin i=\large\frac{-e+e^{-1}}{2i}
分母分子にiをかけて
\sin i=\large\frac{-e+e^{-1}}{2(-1)}i=\frac{e-e^{-1}}{2}i

\large\frac{e^x-e^{-x}}{2}\large\frac{e^x+e^{-x}}{2}は双曲三角関数と呼ばれる.これはxを媒介変数としてそれぞれを横軸,縦軸にとれば双曲線が現れるのである.

6 件のコメント:

  1. 指数法則 a^(n^m)=a^(nm)はnとmが実数のときしか成り立たなかったと思うのですが。

    これは間違いではありませんか?

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    1. いいえ、a=e(自然対数の底)の時は特別で、m,nが複素数の時にも成り立ちます。間違いではありません。

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  2. おっと、2πinの偏角の自由度を忘れていましたね。
    それと、a^(n^m)ではなくて、(a^n)^mです。
    (e^n)^m→{e^(n+2πik)}^m=e^{(n+2πik)m}
    ※ただし、kは任意の整数

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  3. おっと、偏角の2πkの自由度を忘れていましたね。
    それと、a^(n^m)ではなくて(a^n)^mです。
    (e^n)^m→{e^(n+2πik)}^m=e^{(n+2πik)m}
    ただしkは任意の整数

    返信削除
  4. おっと、偏角の2πkの自由度を忘れていましたね。
    それと、a^(n^m)ではなくて(a^n)^mです。
    (e^n)^m→{e^(n+2πik)}^m=e^{(n+2πik)m}
    ただしkは任意の整数

    返信削除
  5. おっと、偏角の2πiの自由度を忘れていましたね。
    それと、a^(n^m)ではなく、(a^n)^mです。
    (e^n)^m→{e^(n+2πik)}^m=e^{(n+2πik)m}
    ただしkは任意の整数
    となります。

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