2005年3月27日日曜日

脳内エステIQサプリ

で,あまり適切とはいえない放送したようだ.いわゆる0で割る計算,特に「0割る0」に関すること.
「脳内エステIQサプリ」という番組で出題された問題

・1 = 1
・8 = 0
・118 = 1
・18 = ??

というものがあり,上三つの法則をもとに??を埋めなさいという問題があったようだ.
結論を先にいうと「1」ということらしい.
つまり、数字の真ん中に棒「-」をつけると
1 = 1 は $\frac{1}{1}=1$

8 = 0 は $\frac{0}{0}=0$

118 = 1 は $\frac{110}{110}=1$

18 = ?? は $\frac{10}{10}=1$

問題は2番目.
「0÷0=0」となっている.
もう少しよく調べてほしかった.


さて,0÷0の答えとして,
は答えが定まらない.(「不定」と表現する)
とすることは多い.
理由は
1.0倍したらなんでも0
2.割り算は掛け算の逆算(12÷3=4のときは「三四 十二」と唱える)
から導かれることである.
小学生に説明するには一番わかりやすい,「教育的」な説明である.

0÷0=□
とすると(12÷3=4 ⇔12=3×4 これは両辺を3倍したのではなく単純な書き換え)
割り算の定義によって書き換えると
0=0×□
となる数をもとめることになる.
ここで0倍したらなんでも0なので,□に入る数はなんでもありで定まらない.
定まらないことを「不定」という.

0で割る計算について「0で割る計算はできないから」とか「0で割るのは許されていないから」とか「0で割っちゃいけないと習った」とか「0で割るのはタブーです」とか,考えることを放棄したような答えが並ぶことは多い..
まぁほとんどの人にとって,数学は思考対象ではなく,ただ盲目的に人の言うことを信じる対象だから仕方がないのかもしれない.

それからこのような0の計算で極限を持ち出すことも多い.
$\lim_{x\to+0}\frac{1}{x}=+\infty$
とか.しかし,0で割る計算とは関係がない.

なぜなら,lim で「x→0」の定義は「xが0以外の値をとりながら0に近づく」だから,x≠0であって,x=0 にした 1÷0 の計算とは無関係である.

そもそも微分の定義
$\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}$
では,分母も分子も極限は0である.(不定形の極限という)

$f(x)=x^2$なら
$\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}=\lim_{h\to0}\frac{(x+h)^2-x^2}{h}=2x$だし,

$f(x)=\sin x$なら
$\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}=\lim_{h\to0}\frac{\sin(x+h)-\sin x}{h}=\cos x$

となって,関数によって違うはずだから,ここでも定数に定まるわけではない.(関数は定まり,x に数字を代入すれば極限は定数だが,やはり h は 「0以外の値」をとるから,0÷0とは無関係)

Googleの電卓機能では,
0÷01÷0 も 0 になってしまうのは,「0除算エラー」を出してサーバがおかしくならないための「仕様」だろう.
0で割る計算,0除算,割り算の意味
くろべえ:0の四則計算(0の意味)

問題を指摘している皆さん.
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追記
正しくは「定義できない.」

2 件のコメント:

  1. 逆算っていう考え方も思考停止かな、と・・・
    逆算の基本は両辺に分母をかけることであり、
    分母が0の分数に0をかけて分母が払えるのであれば
    0/0=1と考えていることになってしまいます (多分

    つまり0/0という分数というのは逆算自体が不能だと思う

    今更ですが

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  2. >逆算の基本は両辺に分母をかけることであり

    この辺の議論は出発点をどこにするか.
    つまり「何を公理として要請するか」
    によります.

    私は
    「12=3×4の置き換えが12÷3=4」
    では,
    「=→÷」,「×→=」という単純な記号の置き換え
    を×の逆算として議論を展開しています.
    記号の置き換えであって,両辺を3倍したものではありません.
    この記号の置き換えを「逆算」と定義すれば,
    「逆算と,両辺に分母をかけることは同値である」ことが証明されます.

    逆に「両辺に分母をかけること」を逆算の定義にすれば,記号の置き換えが正しいことが証明されます.

    私は記号の置き換えが,本質的だと思ったわけです.
    なぜなら,「両辺に分母をかけること」というのは,「割る数(分母)」と「かける」という2つの計算要素がからんで,複雑だと思います.
    記号の置き換えには,計算要素が入り込む余地がないわけです.


    >分母が0の分数に0をかけて分母が払える
    「0=0×□の置き換えが0÷0=□」
    では,0÷0=□ の両辺に0をかけたのではありません.両辺に0をかけたら,0倍がなんでも0であることから,「0=0」終了.

    現代の数学の主流は,逆算とは,私の書いた「記号の置き換え」でもありません.

    演算の逆算の定義とは,
    1.単位元(演算で不変の要素)の存在
    2.逆元(単位元以外の要素の演算が,単位元と等しくなる)の存在
    が保証された上で,「逆元との積」が逆算です.

    つまり割り算の正しい定義は「a/b とは, a と b の逆数 1/b との積」です.
    そして,逆数(逆元)とは「積がその1(単位元)になる2数が互いに逆数」
    そして,実数(正しくは「体(field)」)では和の単位元0の存在が要請され,
    「0との積が1になる数が0の逆数」といえる.
    ところが「0倍したらなんでも0」だから,「0の逆数は存在しない」
    ということで,「a/0 は存在しない」
    でこれ以上考えないのが,数学の主流です.
    したがって,「不定」だの「不能」だのいう以前の問題なんです.

    でも,意味もわからず,「不定」「不能」という人も多いので,「置き換えによる逆算からの不定・不能の説明」を試みているだけです.

    >0/0という分数というのは逆算自体が不能
    そのとおりです.0の逆数が存在しないので分母が0になること自体が存在しないことです.
    おっしゃることに異論はありません.というより,あなた様のおっしゃることの方が数学の主流に近いと感じます.
    http://www.uja.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=655

    しかし,あまり数学に関心のない人に,実数論を大上段から振りかざした上記の論理を書いても煙に巻いたとしか思われないし,かといって結論だけ「定義できません」ではあまりに不親切.
    いわゆる「記号の置き換えによる逆算の説明」は数学にあまり関心のない人に対する「教育的配慮」とご理解くださいませ.
    ご意見ありがとうございました.

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