2004年10月29日金曜日

循環論法

円の面積は $\pi r^2$ だから扇形の面積の公式もできる.
それを根拠に,$x\to0$ のとき極限
$\frac{\sin x}{x}\to1$
が導かれ,これを使うと sin,cos,tan の微分がそれぞれ cos,-sin,$\frac{1}{\cos^2}$ が導かれる.
そしてその逆計算が積分で,
円の面積は $\pi r^2$ が求まる.

でもこれを使って,扇形や$\frac{\sin x}{x}\to1$を導いたりする・・・ということで論理の循環.


それじゃ,円の面積自体を積分を使わず,古代ギリシャの取り尽くし法でやろう.
円を無数の直径で分割し,半分の数の扇形を下に,残りを上にして互い違いに組み合わせると,長方形ができる.
辺の長さは,周の長さ$\pi r^2$と求まる・・・
この論拠は分割を多くすると,弧の長さと弦の長さがほとんど変わらないというところにある.
つまり弦の長さ $x$ がほとんどかわらない.
ようするに $x\to0$ における極限が1であることを暗黙に使用している.

やっぱり循環している.

これを解決するには「どこかを定義にしてしまう」しかない.
円の面積を$\pi r^2$になった」と言いたいし.
それから,$\frac{\sin x}{x}\to1$ も「証明したい.」

ということで,大学以上の微積分の教科書では,級数展開で sin, cos を定義している.
$\sin x=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\cdots$
もともとこれも,$\sin x$ のマクローリン展開なので,
「$\frac{\sin x}{x}\to1$から sin の微分が cos」を使うわけで,循環しているわけだが,循環をとめるためにこの級数展開自体を「sinの定義」にしてしまうわけだ.

で,$\frac{\sin x}{x}=1-\frac{x^2}{3!}+\frac{x^4}{5!}-\cdots \to 1$は面積を使うことなく一瞬にして示され,sin の微分も cos になり,円の面積が積分で計算されるようになるわけだ.

このこと自体は,論理の循環を防止する「技術的なこと」であるから,高校の教科書程度では「しらんぷり」を決め込むのが教育的だし,本質的には古代ギリシャの取り尽くし法でOKなのである.
しかし,論理の整合性を重視する「数学科」の教育では無視できない状況になるため,こういったことに踏み込むことになる.

2 件のコメント:

  1. けが人マル2009年4月15日 19:23

    タマゴが先かニワトリが先か状態ですね^^;

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  2. 実数の切断⇔コーシー列は収束⇔上限の存在⇔区間縮小法⇔中間値の定理⇔・・・
    や,選択公理⇔整列定理⇔Zornの補題 といった同値もどれか一つを「公理」に採用しなければならないニワタマ状態です.

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