2014年1月23日木曜日

結論からさかのぼる

数学A では「証明」を書かせる.
以前も記事にした内容であるが.>以前の記事「ラストシーンから作る」
いつも,口頭で説明しているけれど,今回はそれを
「証明のコツ」
ということでまとめた.

1.結論から考えよう.--- 結論が成り立つためには,どのような条件を用いるか.
2.条件から言えることを並べよう. --- その中から結論につながるものを探す.
3.つながったら,清書. --- 作文練習


証明の「解答例」つまり完成された証明を見ても,「なぜそんな証明を思いつくのか」という思いに駆られるだろう.証明を思いつく思考の過程としては,「結論から」考えているのである.
仮定から言える条件を列記しても,その中で結論につながるものを探すのは大変.しかし結論につながる条件を思い描きながら,仮定される条件を列記すると,証明が見つかるという寸法.

教科書にあった問題例.
右の図において,AR,BP,CP,DR はそれぞれ∠A,∠B,∠C,∠D の二等分線である. BP,AR の交点を Q,DR,CP の交点を S とするとき,4点 P,Q,R,S は同一円周上にあることを証明せよ.
例題

結論は「4点が同一円周上にある」.
それを言うためには,四角形が円に内接していることであり,その必要十分条件に,「対角の和が180度」と,「外角は,それと隣り合う内角の対角に等しい」というものがある.(他にも円周角とか方冪とかもあるが)
「対角の和が180度」をこの図で言えば,
∠P+∠R=180度
が結論にたどり着くための十分条件となる.

次に仮定から言える条件を見つける.

まずは,問題文に明示された仮定
∠RADだの∠BGT だのという表現はゴチャゴチャするから,角の大きさは小文字の変数で表す.すなわち ∠A,∠B,∠C,∠D の半分の大きさを a,b,c,d とすると,∠A=2a,∠B=2b,∠C=2c,∠D=2d で,∠RAD=∠RAB=a などが仮定の条件である.
さて,仮定に明示されていることから書けるのはこの程度.明示されていない暗黙の仮定も考えなければ結論につながらない.というより,そちらが証明の根幹になる場合が多い.ここで見落としがあると,「さっぱりわからん」となる.

暗黙の仮定の列挙
「角度」について一般の四角形について言えるのは「内角の総和が360度」くらい.
∠A+∠B+∠C+∠D=360度
2a+2b+2c+2d=360度

四角形の中に三角形がある.これも特に条件のない三角形だから,「内角の総和が180度」程度である.
三角形RAD については ∠R+a+d=180度
三角形PBC については ∠P+b+c=180度

ここで,結論の左辺 ∠P+∠R を計算する.
∠R+a+d=180度 ⇒ ∠R=180度-(a+d)
∠P+b+c=180度 ⇒ ∠P=180度-(b+c)
∠P+∠R = 180度-(a+d)+180度-(b+c) = 360度-(a+b+c+d)
2a+2b+2c+2d=360度 から (a+b+c+d)=180度 を代入すると,結論につながる.

そして,このように「もがいて」見つけた論理の流れを「証明」という形にしなければならない.
論理の流れを見つけても,証明の形に直すのは新たな作業となる.
これは,自分の中でみつけた論理を整理し筋道立てて,順序良く論証するという,「作文」であるから,作文指導でもある.
新教育課程で謳われている「言語活動の充実」だ.

(証明)
∠A,∠B,∠C,∠D の大きさの半分をそれぞれ a,b,c,d とする.
(与えられていない文字変数を用いる時は,由来を宣言しなければならない.これは準備であるから,最初のもがく場面では必ずしも使っていないかもしれない.先頭に書いてあるが,後づけである.)
四角形ABCD の内角の和は360度であるから,(暗黙の条件:これも後で使う条件であるけれど,証明の構成上最初に書いて,記号*を付しておく.)
2a+2b+2c+2d=360度
a+b+c+d=180度 ・・・*
三角形RAD の内角の和は180度(暗黙の条件)であるから,∠R+a+d=180度 から ∠R=180度-(a+d).
同様に 三角形PBC について ∠P=180度-(b+c).
ゆえに,
∠P+∠R
= 180度-(a+d)+180度-(b+c)
= 360度-(a+b+c+d)
*より,
∠P+∠R
= 360度-180度
= 180度
よって,四角形 PQRS の 1組の対角の和が180度である.
ゆえに,4点 P,Q,R,S は同一円周上にある.(「これが証明されるべきものであった.」ラテン語でQuod Erat Demonstrandum 略して Q.E.D.)

条件を並べてもがいて,論理をつなげる作業では,いろいろな順序で条件が並ぶ.そしてそれらがつながればとりあえず,「解けた」ことにはなる.
しかし,それを,筋道立て順序良く並べる作業は「論理の構成」であるから,もう1段上の「段取り力」が必要となる.
思考の過程としては,「結論」から考えたことではあるが,それをそのまま文章化したら,証明にならない.証明は思考の過程を記述するのではないからだ.

クラスの人数が10名位なら全員に書かせて,添削もしたいところだが,40人では無理.せいぜい机の間をまわってアドバイスするくらい.
「生徒は答案が書けない」
と嘆くけれど,答案の書き方の指導などしていないのだから,当然である.「教科書や黒板の記述を真似ろ」と言ってオシマイ.
まぁ,机の間をまわって目についた生徒にアドバイスかな.

さて,
「∠P+∠R=180度」
を示すのは「等式の証明」である.
これも指導上いろいろな悩ましい.

つまり,
「a+b+c+d=180,r+a+d=180,p+b+c=180 のとき,p+r=180 を証明せよ.」
の書き方.(つづく)

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