2013年4月27日土曜日

リアクタンスと複素数

総合の時間.
最終的には,抽象的な数学の話題に持っていくつもりなのだが.>以前の記事「リゾルベント」

前回までは,複素数の復習プリントで計算ばかりやらせていた.

今回は,虚数を使う具体例を,実験で見せようかと.カバーを外した扇風機やテスターなど,ガサゴソ持っていった.

まずは,扇風機の直流抵抗を測る.20Ωだった.

ということは,100V につなげば,
100V÷20Ω = 5A
もの電流が流れ,100V×5A=500W もの電力を消費してドライヤー並みの熱風が出るはず.
ところが,交流電流を測ると実際は,0.25A しか流れない.

0.25Aなら,
100V×0.25A=25W
という計算になる.

しかし,扇風機の表示は 20W.
これって誤差の範囲かもしれないけれど,一応理由はつけられる.
「力率は100%じゃない」
ってことかな.

いずれにしても,直流抵抗(レジスタンス)より,交流抵抗(リアクタンス)はかなり大きいことが分かる.
100V÷0.25A = 400Ω
である.
モーターのコイルが交流電流を妨げて(インピードして)いるのである.

扇風機が回転中は,モーターの逆起電力の分,電流が小さくなる.(回転するモーターの発電)
ここで強引に羽根を手で止めると 0.3A になった.(そのためにカバーを外した)
100V÷0.3A = 333Ω

これが,モーターコイル本来のリアクタンスだろう.
あ,直流抵抗が 20Ωだったから,正しくは
√(333^2-20^2)=332.7 Ωかも.まぁそれこそ誤差の範囲か.


コイルは,電流の変化を妨げる働きをするので,交流では電圧の位相よりも電流の位相が90度遅れることがわかっている.
そのへんは絵を描いて説明した.

つまり 100sinθ[V]という電圧変化なら,0.3sin(θ-90度)=-0.3cosθ[A] という電流になる.(本当は 141.4cosθ, 0.42sin(θ-90度)などとなるけれど,面倒くさいので無視)

電圧×電流 が電力だから,(2倍角公式から)
100sinθ × -0.3cosθ= -30sinθcosθ = -15×2sinθcosθ = -15sin2θ [W]

図に書くと,2倍の周期で電力がプラスにもマイナスにも振幅する.
プラス側がコイルに向かう電力,マイナス側が発電所に戻る電力.
どちらも同じ大きさだから,相殺されて,「コイルは電力消費しない」とわかる.

電力はコイルの「磁界」のエネルギーとなり,そのエネルギーが発電所に戻されるイメージになる.

100V で 0.3A なら,30ワット(ハンダゴテくらい)もの電力を食って,煙が出そうなはずだが,コイルの直流成分20Ω とモーターの中の金属にコイルの磁力変化で渦電流が生まれて,弱いIHヒーター状態になる程度の消費しかせず,多分1ワットも消費していないと思う.

これが誘導性リアクタンス.

コイルではなく,普通の抵抗(ハンダゴテ)なら,電圧と電流の位相は同じで,
電圧×電流 が電力だから,(半角公式から)
100sinθ × 0.3sinθ= 30(sinθ)^2 = 30×(1/2)(1-cos2θ)≧0
より,発電所に戻る負の電力はないから,抵抗で30ワットを消費しっぱなしである.


問題を簡単にするため(計算に集中するため),10Ωの直流抵抗とリアクタンス10Ωのコイルが並列に 100V につながっているとする.
10Ωの直流抵抗に流れる電流は 100÷10Ω=10A
10Ωのコイルに流れる電流は 100÷10Ω=10A
で,合計 20A 流れそうだが,位相がずれているので,単純に足せない.

直流抵抗には 10sinθ,コイルには -10cosθ 流れているので,その合計が流れる.
10sinθ+(-10cosθ)
= 10(sinθ-cosθ)
= 10√2 sin(θ-45度)
最後は三角関数の合成公式.

つまり計測される電流は 10+10=20A ではなく 10√2 = 14.14 A となり,皮相電力は
100×14.14 = 1414 VA
でも,抵抗で消費する有効電力は 1000ワットなので,力率70%.
(無効電力は 1000VAR)

で,ここまでは sin cos を使った面倒な計算だった.
これを虚数に置き換えてやる方法がある.

直流抵抗10Ω に流れる電流 100V÷10Ω = 10A
コイルのリアクタンス10Ωに流れる電流は,虚数単位 j (j^2=-1)として,-10j A(位相が遅れるからマイナス)
電流の合計は 10-10j A
複素平面で,(10, -10) は,絶対値 10√2=14.14,偏角 -45度なのはすぐわかる.
これに電圧100Vをかけた 1414VA が皮相電力.位相のズレは -45度.

というように,三角関数なしで計算できるのが,複素数を使う利点.

虚数というと架空の数の印象がある.
こうした位相のズレを,sin cos を使わず表現するにはすこぶる便利な数なのである.

そんなことを書いた,手書きの教材を作った.
1時間で書いたので,この記事のように内容がこなれていなくて,黒板で補足w

さて,延長コードのキャパシタンスをテスターで測ったら,300ピコファラッドだった.今度は電流の位相が進む,容量性リアクタンスを説明して,同調回路でもやろうかな.

電気はシロウトなので,間違っているところがあるかも・・・

2 件のコメント:

  1. いつも数学のついてのブログ楽しんでおります。
    といってもちんぷんかんぷんの時ばかりですが・・・
     嫌いではありませんが、どうも凡人の頭ではいまいち理解に苦しみますね。
     数学の分かる人の頭の中を覗いてみたいと思います。なんか特殊な構造をしているのではないかと思いますよ。もう若くない脳みそはついていけません。
     でもなんだか謎解きみたいで、このよろうと思っております。

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  2. すいません.
    その場に居合わせず,書いたものだけで数学を理解するのは絶望的だと思います.
    >頭の中
    すけべなだけですよ.

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