2012年5月3日木曜日

感覚とその言語化のはざま


慣れていない極限
高校レベルの極限はとても感覚的である.

いわく「定数αに,限りなく近づく」とき,αを極限値という.
\frac{1}{n}は >0であるから決して =0 になるのに,
\lim_{n\to0}\frac{1}{n}=0
であることをわかってほしいところ.
昨日書いたように,数字を並べて納得してはもらう.

ところどころで,感覚だけでなく,言語化を意識させるようなことはしている.結局数学とは言語化のことだから.
「限りなく」を「いくらでも」にするだけで,だいぶ言語化に近づく.
そのひとつ「限りなく大きくなるとき,正の無限大に発散」の説明のところ.

それは,
「いくらでも大きくなるとき,正の無限大に発散」
なのだが,とすると,もう少し踏み込んで,
「数列が正の無限大に発散とは,数列の各項が,どんな正の数より大きくなること.」
と言語化する.
すると,すぐに納得してくれる.それを,
「すべてのM\gt0 に対して,ある番号nがあって,それより大きな番号mでは,いつも,a_m\gt M
と書く.

ついでに,これと同じ説明で,収束も
「数列が定数αに収束とは,数列の各項とαとの差が,どんな正の数より小さくなること.」
定式化も発散の書き換えで簡単.
「すべてのM\gt0 に対して,ある番号nがあって,それより大きな番号mでは,いつも,|a_m-\alpha|\lt\varepsilon
これを,いきなり書いたら,「?」だろうが,正の無限大と対比させることで,なんとなくわかった気になってもらえる.

進学校にいたときは,武藤徹先生のやりかたをまねしたことがあった.
「すべてのε>0 |について,|x|<ε」
のような変数 x を「無限小」と名付け,
「あるM>0 |について,|x|<M」
のような変数 x を「有界」と名付ける.
x-αが無限小のとき,x の極限値αと定義.
「有界×無限小=無限小」
「無限小×無限小=無限小」
を証明すると,それらから lim の線型性などが証明される.>線型とは
lim x=α,lim y=β
lim kx=kα,lim(x+y)=α+β,
lim(xy)=αβ,lim(x/y)=α/β (β≠0)
調子に乗って,最大値の定理や中間値の定理まで証明してしまった.

今の学校では,
「成り立ってほしいことが成り立ってうれしい」
で済ませてしまうが.

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