2008年11月8日土曜日

繰り返す数列

数学Bの数列をはじめのところ,教科書に
-1,1,-1,-1,・・・
と繰り返す数列が出ていた.
一般項は (-1)^n

これを使えば,2個ずつ繰り返す数列を表すことができる.
3,4,3,4,3,4,3,4,・・・

3.5-0.5,
3.5+0.5,
3.5-0.5,
3.5+0.5,
の繰り返しと考えることにより,一般項は
3.5+(-1)^n\times0.5
といえる.

こんなことを授業でやっているとき,
「3つの繰り返しの式も,面倒だけどできるよ.」
なんていう話もした.もちろん,数列のはじまりの授業でさらっと扱える内容ではない.
たとえば,
1,2,3,1,2,3,・・・
といったもの.

理屈は知っていたが,実際に求めてみたことはなかったので,作ってみた.


とりあえず,三角関数を使って,くるくる回すのが簡単.1周を3等分した角をn倍してやる数列
 \left\{\sin\frac{2\pi}{3}n\right\}
が基本になる.
\frac{\sqrt{3}}{2},\ -\frac{\sqrt{3}}{2},\ 0,\frac{\sqrt{3}}{2},\ -\frac{\sqrt{3}}{2},\ 0,\ \cdots
これを\frac{2}{\sqrt{3}}倍した数列
\left\{\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}n\right\}
は,
1, -1, 0, 1, -1, 0, ・・・
これに2を足した数列
\left\{2+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}n\right\}
は,
3, 1, 2, 3, 1, 2, ・・・
1からはじめるには,番号をずらせばよいから,
2+\frac{2}{\sqrt{3}}\sin\frac{2\pi}{3}(n+1)
とすれば,
1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・
という数列となる.

三角関数を使わなければ,1の原始3乗根を使うのがよい.
1の原始3乗根は x^3=1の解で,
x^3-1=0
(x-1)(x^2+x+1)=0
x-1=0,\ x^2+x+1=0
x=1,\ x=\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}
より,
\omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
とすれば,
\omega^2=\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^2=\frac{1-2\sqrt{3}i+3i^2}{4}=\frac{1-2\sqrt{3}i+3(-1)}{4}=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
\omega^3=\omega\omega^2=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\times\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}=\frac{1-3i^2}{4}=\frac{1-3(-1)}{4}=1
\omega^4=\omega^3\omega=1\omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
\omega^5=\omega^3\omega^2=1\omega^2=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
\omega^6=\omega^3\omega^3=1\times 1=1
なので,\left\{\omega^n\right\}
\omega,\ \omega^2,\ 1,\ \omega,\ \omega^2,\ 1,\ \cdots
と3つの繰り返しになる.

ということで,1の原始3乗根を解に持つ2次方程式x^2+x+1=0が特性方程式となる漸化式の数列を基本にするのがよい.
これを特性方程式にもつ3項間漸化式は,x^2=-x-1より,
a_{n+2}=-a_{n+1}-a_{n}
である.
a_{1}=0,\ a_{2}=1とすれば,
a_{3}=-a_{2}-a_{1}=-1-0=-1
a_{4}=-a_{3}-a_{2}=-(-1)-1=0
a_{5}=-a_{4}-a_{3}=-0-(-1)=1
a_{6}=-a_{5}-a_{4}=-1-0=-1
つまり,
0, 1, -1, 0, 1, -1, ・・・
と繰り返す数列ができあがる.これの一般項に2足せば2,3,1,2,3,1となるから,
a_{1}=0,\ a_{2}=1,\ a_{n+2}=-a_{n+1}-a_{n}
で定義された数列の一般項を求める.

数列を変形して,
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_{n})
としたときの,\alpha,\ \betaを求める.
展開すると,
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta a_{n+1}-\alpha\beta a_{n}
a_{n+2}=\alpha a_{n+1}+\beta a_{n+1}-\alpha\beta a_{n}
a_{n+2}=(\alpha +\beta)a_{n+1}-\alpha\beta a_{n}
もとの漸化式と係数を比較すると,
\alpha +\beta=-1,\ \alpha\beta=1
であればよい.\beta=-\alpha -1\alpha\beta=1に代入して,
\alpha(-\alpha -1)=1
-\alpha^2-\alpha=1
\alpha^2+\alpha+1=0
よって,
\alpha=\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}
ここで,
\alpha=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
とすれば,
\beta=-\alpha -1=-\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}-1=\frac{1-\sqrt{3}i-2}{2}=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}
であり,\alpha,\ \betaは対称で交換可能であるから,
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_{n})

a_{n+2}-\beta a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\beta a_{n})
でもある.

ここで,b_{n}=a_{n+1}-\alpha a_{n}とおけば,
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_{n})

b_{n+1}=\beta b_{n}
ということだから,\{b_{n}\}は公比\beta=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}の等比数列で,初項が
b_{1}=a_{2}-\alpha a_{1}=1-\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\times0=1
だから,一般項は,
b_{n}=a_{n+1}-\alpha a_{n}=\beta^{n-1}=\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}
となる.

同様に数列
\{a_{n+1}-\beta a_{n}\}
は,公比\alpha=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}の等比数列で,初項が
a_{2}-\beta a_{1}=1-\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\times0=1
だから,一般項は,
a_{n+1}-\beta a_{n}=\alpha^{n-1}=\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}
となる.

つまり,2つの漸化式
a_{n+1}-\beta a_{n}=\alpha^{n-1}
a_{n+1}-\alpha a_{n}=\beta^{n-1}
ができたが,これらの辺々を引くことにより,a_{n+1}が消去され,
(\alpha-\beta)a_{n}=\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}
より,一般項
a_{n}=\frac{\alpha^{n-1}-\beta^{n-1}}{\alpha-\beta}
を得る.
\alpha-\beta=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}-\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}=\sqrt{3}iよりこの数列の一般項は
a_{n}=\frac{\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}-\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}}{\sqrt{3}i}

で,これは
0, 1, -1, 0, 1, -1, ・・・
だったので,これに2を加えた数列
\left\{2+\frac{\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}-\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n-1}}{\sqrt{3}i}\right\}

2, 3, 1, 2, 3, 1, ・・・
これを
1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・
にするには,番号を2個ずらせばよいから,
\left\{2+\frac{\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^{n+1}-\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^{n+1}}{\sqrt{3}i}\right\}

1, 2, 3, 1, 2, 3, ・・・
の一般項となる.

検算してみる.(別窓にgoogle電卓が開きます.)
n=1 2+(((-1+i√3)/2)^(1+1)-((-1-i√3)/2)^(1+1))/(i√3)
n=2 2+(((-1+i√3)/2)^(2+1)-((-1-i√3)/2)^(2+1))/(i√3)
n=3 2+(((-1+i√3)/2)^(3+1)-((-1-i√3)/2)^(3+1))/(i√3)
n=4 2+(((-1+i√3)/2)^(4+1)-((-1-i√3)/2)^(4+1))/(i√3)
n=5 2+(((-1+i√3)/2)^(5+1)-((-1-i√3)/2)^(5+1))/(i√3)
n=6 2+(((-1+i√3)/2)^(6+1)-((-1-i√3)/2)^(6+1))/(i√3)

つづく

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