2008年6月29日日曜日

分数式は必ず積分できる

たとえば,\frac{2x^8+x^7+x^6-x^5-x^4+5x^3-6x^2+6x-4}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}の積分.(これなら誰も読む気しないだろうw)
まず,分子の次数が,分母より高ければ,割り算を行って,「多項式+分数」の形にする.
\hspace{20}{(2x^8+x^7+x^6-x^5-x^4+5x^3-6x^2+6x-4)}\\ \hspace{30} \div{(x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2)}
の商2x^2+9x+25,あまり57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46より
\hspace{20}\frac{2x^8+x^7+x^6-x^5-x^4+5x^3-6x^2+6x-4}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}\\ \hspace{20}= 2x^2+9x+25+\frac{57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}
多項式の部分の積分は,高校2年の数学のとおりである.
\hspace{20}\int(2x^2+9x+25)dx = \frac{2}{3}x^3+\frac{9}{2}x^2+25x

したがって分数式の積分は,分母より分子の次数が小さい場合を考えればよい.
\hspace{20}\int\frac{57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}dx
つづいて,分母を因数分解する.
\hspace{20}x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2=\\ \hspace{20} (x-1+\sqrt{2})(x-1-\sqrt{2})(x^2+1)(x^2-2x+2)
因数分解は,一般に4次式以下であれば解の公式があるから,必ず厳密な形でできる.
この場合,実数解の因数は1次式に,虚数解の因数は2次式にすれば,実数の範囲で因数分解できる.
さらに,5次以上の方程式には解の公式はないが,代数学の基本定理により,解析的にすべて1次式と2次式の積になる.このことについては,後述することにして,とりあえず1次式と2次式の積に因数分解したら,次は部分分数に分解する.
\hspace{20} \frac{57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}\\ \hspace{20} = \frac{57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46}{(x-1+\sqrt{2})(x-1-\sqrt{2})(x^2+1)(x^2-2x+2)} \\ \hspace{20} = \frac{a}{x-1+\sqrt{2}}+\frac{b}{x-1-\sqrt{2}}+\frac{cx+d}{x^2+1}+\frac{ex+f}{x^2-2x+2}
両辺に分母をかけて,係数を比較すると,
a=\frac{613-420\sqrt{2}}{24}b=\frac{613+420\sqrt{2}}{24}c=\frac{1}{20}d=\frac{-7}{20}e=\frac{88}{15}f=\frac{112}{15}
より,
\hspace{20} \int\frac{57x^5-103x^4+132x^3-59x^2+74x+46}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}dx \\ \hspace{20} = \frac{613-420\sqrt{2}}{24}\int\frac{1}{x-1+\sqrt{2}}dx+\frac{613+420\sqrt{2}}{24}\int\frac{1}{x-1-\sqrt{2}}dx\\\hspace{40}+\frac{1}{20}\int\frac{x-7}{x^2+1}dx+\frac{8}{15}\int\frac{11x-14}{x^2-2x+2}dx \\ \hspace{20} = \frac{613-420\sqrt{2}}{24}\log|x-1+\sqrt{2}|+\frac{613+420\sqrt{2}}{24}\log|x-1-\sqrt{2}|\\ \hspace{40}+\frac{1}{20}\int\frac{x-7}{x^2+1}dx+\frac{8}{15}\int\frac{11x-14}{x^2-2x+2}dx

そして,残りの項は分母の微分を分子に作り出して,
\hspace{20}\frac{1}{20}\int\frac{x-7}{x^2+1}dx = \frac{1}{40}\int\frac{2x-14}{x^2+1}dx= \frac{1}{40}\int\frac{2x}{x^2+1}dx+ \frac{1}{40}\int\frac{-14}{x^2+1}dx \\ \hspace{20}= \frac{1}{40}\int\frac{(x^2+1)'}{x^2+1}dx+ \frac{-14}{40}\int\frac{1}{x^2+1}dx = \frac{1}{40}\log(x^2+1)+ \frac{-7}{20}\int\frac{1}{x^2+1}dx
x=\tan\thetaとすると,x^2+1=\tan^2\theta+1=\frac{1}{\cos^2\theta}dx=\frac{1}{\cos^2\theta}d\thetaより,
\hspace{20}\frac{-7}{20}\int\frac{1}{x^2+1}dx = \frac{-7}{20}\int\frac{1}{\frac{1}{\cos^2\theta}}\frac{1}{\cos^2\theta}d\theta= \frac{-7}{20}\int1d\theta=\frac{-7}{20}\theta\\ \hspace{20} =\frac{-7}{20} \arctan x
同様に,
\hspace{20}\frac{8}{15}\int\frac{11x-14}{x^2-2x+2}dx = \frac{4}{15}\int\frac{22x-28}{x^2-2x+2}dx = \frac{4}{15}\int\frac{22x-22-6}{x^2-2x+2}dx \\ \hspace{20} = \frac{4}{15}\int\frac{11(2x-2)-6}{x^2-2x+2}dx =  \frac{4}{15}\int\frac{11(2x-2)}{x^2-2x+2}dx + \frac{4}{15}\int\frac{-6}{x^2-2x+2}dx  \\ \hspace{20} = \frac{44}{15}\int\frac{2x-2}{x^2-2x+2}dx + \frac{-24}{15}\int\frac{1}{x^2-2x+2}dx  \\ \hspace{20} = \frac{44}{15}\int\frac{(x^2-2x+2)'}{x^2-2x+2}dx + \frac{-8}{5}\int\frac{1}{x^2-2x+2}dx  \\ \hspace{20} = \frac{44}{15}\log(x^2-2x+2) + \frac{-8}{5}\int\frac{1}{x^2-2x+2}dx
x^2-2x+2 = (x-1)^2+1 より x-1=\tan\theta とおくと,x^2-2x+2 = \tan^2\theta+1=\frac{1}{\cos^2\theta}dx = \frac{1}{\cos^2\theta}d\thetaより,
\hspace{20} \frac{-8}{5}\int\frac{1}{x^2-2x+2}dx = \frac{-8}{5}\int\frac{1}{\frac{1}{\cos^2\theta}}\frac{1}{\cos^2\theta}d\theta = \frac{-8}{5}\int1d\theta\\ \hspace{20} = \frac{-8}{5}\theta =  \frac{-8}{5}\arctan(x-1)

よって,
\hspace{20}\int\frac{2x^8+x^7+x^6-x^5-x^4+5x^3-6x^2+6x-4}{x^6-4x^5+6x^4-6x^3+3x^2-2x-2}dx \\ \hspace{20} =  \frac{2}{3}x^3+\frac{9}{2}x^2+25x \\ \hspace{40}  + \frac{613-420\sqrt{2}}{24}\log|x-1+\sqrt{2}|+\frac{613+420\sqrt{2}}{24}\log|x-1-\sqrt{2}| \\ \hspace{40} + \frac{1}{40}\log(x^2+1)+\frac{-7}{20} \arctan x \\ \hspace{40} + \frac{44}{15}\log(x^2-2x+2) + \frac{-8}{5}\arctan(x-1)

つまり,分数式の分母は,代数学の基本定理で,1次式と2次式の積になる.(方程式が実根の時が1次式,虚根のとき2次式)
そして,それを部分分数に分ける.
分母が1次式の場合の積分は,log(1次式) の形.
分母が2次式の場合は分子が1次式なので,分母の微分を分子に作りこむと,log(分母) の形となる.
すると,残りは分母が2次式,分子が定数となるから,分母を平方完成し(虚根を持つ2次式は必ずxの1次式の平方と正の数の和になる),平方の中身を tan で置換することより,arctan が出てくる形に持ち込む.
といった手順で,すべての分数式の積分は,必ず求めることができ,それらは多項式と,log と arctan であらわされる.

となると問題は,5次方程式の一般解が,一般に加減乗除と累乗根で表すことができないというアーベルの定理がネックになりそうではある.
つまり,ガウスの代数学の基本定理によって,実数係数のすべての多項式は実数係数の1次式,2次式の積にあらわすことができるが,その実数係数を一般に元の式の係数の加減乗除と累乗根で表すことができないというのがアーベルの定理である.
しかし,ガウスの定理によって実数係数は存在はするのだから,数値解レベルでいくらでも近似することが可能で,積分は存在する.
つづく


>>積分の記事

4 件のコメント:

  1. 一番最後のlog(x^2-√2x+1)の符号はマイナスではないのでしょうか?
    自分が間違っていたらすみません。

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  2. 他にもいろいろ見つけました.(ログの中が負になってるとか)
    いずれ直しておきます・・・ほっとこうかな.これ,コピペしてレポートにすれば,採点者が,「出所はくろべえだ」ってわかりやすいし.

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  3. なら、たとえば1/x³-1や、x/x⁴-1の積分はどのようにすればいいのでしょうか?

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  4. 記事を理解してください.そうすればできます.

    http://www.wolframalpha.com/input/?i=1%2F%28x^3-1%29

    http://www.wolframalpha.com/input/?i=x%2F%28x^4-1%29

    符号が違うけど,やり方は同じ.
    http://kurobe3463.blogspot.jp/2008/06/integrate-1x31.html

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